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[コメント] 太陽はひとりぼっち(1962/伊)

画面を冷たく、そして完全に支配するモニカ・ビッティ。さらにSF映画かと思ってしまうような無人の街の空虚な静けさ。気だるさと不安という虚無の香りが満ちる中で証券取引場の喧騒は作品の「香り」を乱していたと思う。少なくとも私には・・
sawa:38

確かに証券取引場の喧騒は余りにも熱く描かれており、他のシーンとの「対」としてはその役目を果たしている。だが、それは私には過剰であった。

虚無に彷徨う女と、実態を伴わない紙の上だけで生きる男。無人の街で呼吸する女と、喧騒の中で怒鳴りあう男。それぞれ「対比」は充分過ぎた。

作品には「雰囲気」というか「空気感」というか、その作品を支配する「香り」のようなモノがあると思う。本作を支配していたのはモニカ・ビッティの冷たさであり、それを際立たせる背景がまるでSF映画のような人気の無い街並みだった。これは個人的な好みなのだが、私はアノ虚無感に溢れた冷たい「香り」に惹かれていた。おそらく中盤の喧騒シーンは必要不可欠なものなのだろうが私には作品に浸る中で邪魔な存在になっていったのが正直なところである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ダリア[*]

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