[コメント] ジョニーは戦場へ行った(1971/米)
ダルトン・トランボの怨念が満ち溢れている。 S・O・S・・・S・O・S・・・
五感で感じ、会話を操ってコミュニケートする。さらに手足を使って「自殺」する事すら出来る生命体。それが「ヒト」。
彼は「石ころ」になった。すべてを封じられた「石ころ」だと思う。
吹き荒れる「赤狩り」の嵐の中で、トランボは証言を拒否し、仲間の名を売る事をしなかった為に禁固刑を受けた。その後ハリウッドから追放された後も偽名で脚本を書き続け、アカデミー賞を受賞するも名乗り出る事も出来なかった。『ローマの休日』も彼の作品だったという事実が後年明らかになる等、余りある才能を持ちながらジレンマは想像を絶する。
『ローマの休日』のラストの台詞も、そういった事実を踏まえて鑑賞すれば、そこには「自由」「友を信じる」といった意味深長な台詞になる。
『栄光への脱出』『脱獄』『パピヨン』等、彼の作品群は「自由」「解放」「脱出」といったキーワードに満ちている。
彼の波乱に富んだ人生を想うに、「石ころ」に貶められていた時代の苦痛がペンの肥やしになっているのだろう。
本作も、才能がありながら(思考力がありながら)、名乗り出る(自己表現)ことすら出来なかった悔しさ・絶望感に満ちている。もっと言えば怨念に満ち溢れている作品である。
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