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[コメント] 砲艦サンパブロ(1966/米)

まったく!マコ・岩松って奴ぁ!
sawa:38

この年のアカデミー賞に8部門でノミネートされるも無冠に終わった本作。しかし、その候補者の中にとりわけ貧相で事実晴れやかな舞台に似合わない男優がいた事を忘れてはならない。その男はキャデラックやリンカーンが並ぶ会場の駐車場にやっとの事で手に入れたキャンピングカーで乗り付け、夫人は和服を着ていた。

その男の名はマコ・岩松。彼は助演男優賞を受賞してしまった時のスピーチを必死で考えていたという。差別され続けてきたアジア系俳優たちの熱い気持ちを何とか伝えたかったという。アジア系俳優仲間と「東西劇団」を作り、誇張されたアジアの人々のイメージを打破すべく活動していたのだ。

ドラゴン・シード』でキャサリン・ヘップバーンが奇怪な吊り目の中国人、『八月十五夜の茶屋』でマーロン・ブランドが演じた沖縄の通訳など、日本人には屈辱的なハリウッド製映画が常識とされていたのだ。

結局、マコ・岩松のスピーチは誰も聞く事が出来なかった。同年のゴールデン・グローブ賞での助演男優賞は砲艦サンパブロが受賞したが、それはマコではなく、リチャード・アッテンボローであった。

余談ではあるが、この作品にはもうひとり興味深い人物が出演していた事が後年に判明した。タイの女優で英仏伊独の4ヶ国語がペラペラの才女。名はエマニエル・アルサン。彼女は後年、『エマニエル夫人』という自伝的ベストセラーを執筆する事になる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Orpheus べーたん ALPACA[*]

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