まず、冒頭でストーリー（作戦）の骨格が明瞭に説明される。余計な伏線やら複雑な背景などが無いという実にシンプルなストーリー展開というのが私には非常に好感がもてました。

中盤で裏切りという転換点が訪れるが、それはストーリーの明快さを邪魔するような悪質なものではなく、さらにアクションも控えめ（？）であった。

つまり人間としてのスパイをじっくり描こうとする姿勢に大変好感が持てたのです。まぁ、その描き方が一流だったとは言いませんが少なくとも軽薄な作りではありませんでした。

ラストの唐突な終わり方だって映画的で素敵でした。とてもじゃないがハッピーエンドは望めないふたりがアルプスの山の中へ去っていく・・・悲劇は間違いないだろう。だがソコは描かずに余韻を残して終わっていく。とてもハリウッドでは作れない映画でしょう。