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[コメント] 告発の行方(1988/米)

確かにサラは強く生きていた。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この作品、犯罪者、検察側、弁護側、サラの親、彼、友人全てを含めた登場人物の中で、キャラが十分「生きていた」のは、サラ本人だけだったように思える。サラにとって重要な役割を演じた検事補も、証言した学生も自発的な行動ではなかったし、犯罪者の心理描写も皆無といっていいだろう。

罪の意識。事件後も平然とバーで飲むレイプ犯、共謀犯。有罪判決後、果たして彼らに罪の意識が生じただろうか? 裁判に反対した検察上司の根拠の無さはどうだろう? 有罪判決は、サラにとって重要なことであることは間違いないのだが、客観的には、その事実を法的に認めさせただけに過ぎないのではないだろうか?

一言で言うなら、本作は、「サラが強く訴えたから」検事補は裁判を起こし、「運が悪かったから」容疑者は有罪になったかのように撮られていたように思える。このことは決して、多発するレイプ犯罪自体の解決を示唆していない。

精神的にダメージを受けた被害者のみが、その「熱心」な働きかけによって、事件解決の糸口を持ちうるという現実。 被害者の立場から、それは殆ど不可能に近いという現実。 つまるところ、これが一番作者の言いたかったことではないでしょうか?

(評価:★4)

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