個人的にはトニー・ジャーのアクションは凄いとは思うけど、スター性はあまり感じなかった。目のインパクトが弱く、感情の変化が伝わってこないし、アクション前のタメが弱い。筋肉の膨張率もなくムキムキなだけ。おおよそブルース・リーとは比較にならない。　ブルース･リーは格闘家としても映画人としても、その思考が映像から伝わってきたが、トニー・ジャーは言われるがままのように思える。　ジャッキー・チェンと比べても、体を張ったアクションは若き日のジャッキーと同じ匂いがするけど、役者としての存在感は（初陣と言うことを差し引いても）レベル違いだと思う。私が期待しすぎていたのだろう。

また、アクションは、（ムエタイとカンフーの違いかもしれないが）単発で流れがないのに加え、スローや違う角度からの映像を繰り返し流す演出は、ＴＶで流される体操競技のフィニッシュを見ているようで、その度に観る側（私）の興奮は収まってしまった。　防御と攻撃が一体となった息詰まる攻防をブレーク抜きの通しで観たかった。

本作はアクションと技のみを重視したトニー・ジャーのプロモーション・ビデオのようなものだったのかな？