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[コメント] (ハル)(1996/日)

こんなに良い映画だったんだ。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それはもう観ている間中すっかり(ほし)になってしまった。字幕と言いまるで恋愛シュミレーションゲームの様でもあったけれども、だからと言ってそれが悪いかと言えば、とんでもなかった。(ほし)の気持ちそのものになってしまった。自分がメールを書いていた。特に好きだったシーンを2つ。

1: 新幹線のシーン、思わず『天国と地獄』を思い出すくらい印象的だった。もちろんそれまでの過程があるからあれだけ切ないシーンになっている訳だけれども。その新幹線のシーンの後に(ほし)の、

”男の人に自分が見られるのがこんなに嬉しいとは思いませんでした。ありがとう。”

という字幕(メール)がある。こんな字幕を男性が思いつけるんだ。びっくりした。この気持ちはとても切ないし、女としても凄く共感してしまう。とても微妙な意味を持つ切ない字幕ですよ。だって「見られた」って言ったってあれですよ。顔も判別できないくらいの。「見られて嬉しい」なんていうシチュエーションはそう無い。けれど、観ている自分が自分の事の様に嬉しかった。 それと台詞にもあったけれども、相手がちゃんと人間だっていう事を実感するシーンでもある。それは全く当たり前のことだけれども、例え互いを見たのがあれだけであっても相手を実感できるというのと、文字だけの繋がりとでは、やっぱり違いが大きい。相手との距離を近く感じたり、相手に対する信頼感が違ってくる。それまでのメールのやり取りで高まっていたものがここの「新幹線〜(ほし)のメール」で頂点になっていて、大好きなシーンと台詞(字幕)だった。

2: 2人が交わすメールのほとんどは他愛も無い話だったりする。仕事の話だとか、レーメンの話だとか。でもそんなメールのやり取りが、次第にお互いにとって必要なものになっていたというのを示している、(ほし)がメールをしなくなってしまう辺りも良かった。(ほし)がメールをしないでいる気持ちがよく分かってしまうし、(ハル)のメールが来ていないとがっかりする気持ちにも共感。そこで(ハル)の、

”こうやってメールを書くのって気分良いです。真っすぐな気持ちになります。これからも僕が勝手にメールを送ります。”

という字幕(メール)があるのだけれど、この字幕も大好きだった。と言うかここのとこで泣き始めたら観終わっても泣き止めなくて一日中泣きっ放しだった。とても良い字幕だった。(ほし)と(ハル)はラストシーンの「はじめまして」の後、きっともっとお互いが必要になっていくのだろうな。

(評価:★5)

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