誰も見たことのない映像を作り上げようとする監督のひたむきさがよく伝わってくる。

予告編で味わった感覚を拡大再生産された映像の数々は斬新で、特にモブシーンにおけるそれはかつて誰も見たことのないアングルからのもので、将来この手の作品が作られる時は必ず引用されるだろう（予言）。

それに引き替え、ドラマはどこかで見たような設定、台詞のオンパレードで二番煎じ三番煎じ。 主役二人（草なぎくん、柴咲コウちゃん）の会話が特に陳腐。

「愛する人が死ぬのは見たくないから、もう人は愛さない…」だの「守るべき人が出来た…」などなど、使い古された台詞が出てくるたび、こちらの顔が赤らむ。

従来の役の枠を踏み出させることなく終わってしまったのは二人にとってマイナスだったろうと思う。

それに比べて過去こんな明るい役をやったことない及川光博（ミッチー）の起用は良かった。彼はこれを機にどんどんと役の幅を広げるだろう事を予感した。

また準主役としてトヨエツと大地真央さんの存在感はその出演時間に比して影が薄いような気がしたが前作の丹波さんや小林圭樹さん、島田正吾さんにと比べるんだからしょうがない。

ラスト近くに主役二人のラブシーン突入か？と思わせる展開になるが 考えられないストイックさで、肩すかしを食らう。樋口監督が適当でないと判断したのか？演出に自信がなかったのか？ ここは草なぎくんを男にしてやれば良かったのに。 見る方もここでキチンとカタルシスを感じたい所だった、と思う。

Ｎ２爆薬（エヴァからの引用か？）を設置して信管セットし忘れる（もしくは後でセットしないといけない設定）なんて考えられないだろう！？

全体を締めくくるドラマがこんな間抜けな設定で、アル○ゲドンばりの 自己犠牲によるお涙頂戴劇になってしまったのが誠に残念。