彼が１９８０年になくなって早いものでもう２０年以上の歳月がたった。『荒野の七人』、『大脱走』、『ネバダスミス』、『栄光のルマン』、多くの映画に出演し、あのはにかんだ表情を見せてくれた。後にも先にも私としては、彼のような何ともいえない魅力のある「カッコイイ」スターは、いない。

晩年になって、いつまでもアクションスターの看板で見られることを嫌い、ヘンリック・イプセンの『民衆の敵』で本当の自分を見せようと髭面の医者を演じて見せた。常にトップの扱いを望み、『タワーリングインフェルノ』では、ポールニューマンと出演時間を合わせるなど、自分自身にこだわり続けて生きていたようだ。

そんな彼が、最後に自分の生きてきた道をふり返り、アクションスタートして最後の作品に望んだのだろうか。

彼が去り、数あるスターが現れたが、あの「カッコよさ」にはもうめぐり合わないと思うとやはりさびしい。