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[コメント] ソウ SAW(2004/米)

'04年度あと出しジャンケン部門イチ抜け映画。定期的に作られる舞台手品映画で、2回目は観る価値のないワイドショーみたいなもん。
ヒエロ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







頭の良い奴が仕掛けた罠に、観客が確実に嵌っていく。9割方の策が破綻したと見せかけて、実は手の内から出ることもなく、まんまと策に堕ちるのを見せるのって、単なる後出しジャンケンなわけだが、この手合いは、頭の良い客が観れば、前半だけで底が割れる程度のタネしか入れてないのが定番。だから、どんな手で填めるのかが、この手の映画の面白さを決めるわけで、ツッコミ処満載でも最後の詰め手を観たくて我慢するわけよ。ところがどっこいこの映画、タイトルの『SAW』には、二重三重の意味を掛けてる癖に、登場人物の演技が妬けに過剰で「想定内のリアクション」しかしない。しかも填め手も詰め手もオーソドックスで、ポイントになるシーンの描写が浅いもんだから、2回目観ようとは思わないんだなあ。タイトルを考えるだけで力を使い切ってしまったのか、「観たこともない」ものは何もなかった。

どうせなら本物の不条理を描いて唸らせて欲しいもんだ。第一、劇中に出てくるような異常者が、生きることに感謝しない奴は許せないなんて、まともな理屈を言うわけないだろ。まともな人間が、それなりに理解できる理屈を持ち出す辺りで、不条理さが消し飛んでる。不条理は、まともな人間では理解できないし受け入れられない。本来は、「まとも」の定義すら一意じゃないわけだが、この映画の作者は「まとも」の定義を暗黙知にしているから、ハナからトリックを見せたいだけの軽い内容になってしまってる。

しかし、その後連作で何本も作られるって事は、お手軽に騙して欲しい人間が増えたのか、はたまた後出しジャンケンが好きなM人間が増えたのか、どっちにしろ作る方も観る方も人材不足なのか。とは言え、もっと突き抜けた描写を期待して最後まで観てしまったので3点。確かに、その期待値はあったのに・・・。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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