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[コメント] 眠狂四郎無頼控 魔性の肌(1967/日)

あの手この手・・・。
若尾好き

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







時代劇が生んだハード・ボイルドヒーロー、その名は「眠狂四郎」。天下にとどろく妖刀「無想正宗」が繰り出す「円月殺法」の前で、生き残った者はいない・・・。

今回、訳あって「秘宝マリア像」を京都まで運ぶ役目を受け入れた狂四郎は、その像を手に入れようとつけ狙う「黒指党」という教団に行く手を阻まれることとなる。

「黒指党」は当初、狂四郎に正攻法で切りかかっていたのであるが、「コイツはカナワン」と思ったのか、ある晩、戦法を変えることにした。「あの手、この手」を使って狂四郎を陥れようというのである。

しかし、その作戦のお間抜けなことといったらない。

作戦その1。「母者(ははじゃ)買うてください」という看板を下げた、みすぼらしい男の子が立っている。農民たちは相手にしないが、狂四郎は「買うぞ」と冷たく言い放ち、ある農家につれていかれる。で、中に入るときちんと正装した、見るからに生活にこまってなさそ〜な女性が一人。アヤシイ、カナリアヤシイ。ハイ!案の定、彼女は「黒指党」であることを見破られました。チャンチャン♪

と、ここまでならいい。しかし、黒指党の「大人の策略」はまだまだ続く。

作戦その2。シーンは「お茶屋」である。狂四郎がお茶屋にいると、老人がお茶をこぼしてしまう。すかさず、全てはお見通しだといわんばかりに「毒茶だな」とクールに告げる狂四郎。正体を見破られた老人は、刀を持って切りかかってくる。この「黒指党」の逆ギレ状態がまたタマラン。だったら最初から、正攻法でいけっての!

しかし、こんなことでめげる「黒指党」ではない。圧巻は次である。まったくもってトリを飾るにふさわしい、素晴らしい「大人の策略」だ。

作戦その3。シーン、「温泉」。岩場に湧き出た温泉で、女が風呂に入ろうとしている。そこに通りかかる狂四郎。女はすかさず、声をかける。「お侍さん、ここはとても気持ちのいい温泉よ、私のことは気にしないでいいから、どうぞ入っていきなさいな」。おれはここで爆笑してしまった。どうみても、アヤシイって!しかもこのアヤシさは上の二つと比べ物にならなくらいの超ド級のアヤシサだ。おれでも見破るぞ。でも、狂四郎、途中まで着物脱ぐんだよね。「お約束」に付き合ってあげているそのケナゲな心に涙だ。しかし「黒指党」、実はコイツら、ギャグのためならば命も惜しまない、「吉本新喜劇もビックリ」のコント集団か?

で、オチが温泉が「毒湯」だったってとこも笑える。

色見たら緑だし。ギャハハハハハハハハハ!

こうして、最高の「コメディ映画」とともに、おれの夜は更けていったのであった。

(評価:★3)

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