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[コメント] オフサイド・ガールズ(2006/イラン)

人と人が繋がっている事を再認識させられると同時に、鬱陶しくもあるその繋がりをこの上なく素晴らしいものだと実感もします。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







こういう自分の好きな事に対し、猪突猛進に突き進む系の映画は大好きです。自分も好きな事になると周りが見えなくなるタイプなので、観ていて共感しまくってしまう訳です。ただし私と違い、彼女らはお国柄により理不尽な事を突きつけられて、好きな事を制限されてしまいます。しかしそれを彼女らに押し付ける兵士たちもまた、そんな彼女たちに振り回される。人と人が繋がっている事を再認識させられると同時に、鬱陶しくもあるその繋がりをこの上なく素晴らしいものだと実感もします。

特にトイレのシーンが良い。女性を男子トイレに入れるため、必死で彼女を守る兵士。なんかよく分からんけど必死に守る。イランの男性にとって、女性は守らなければならない確固たる存在という位置づけが想像出来ます。「汚い言葉が飛び交う競技場に女性は入れられない。」「トイレの薄汚い落書きを女性には見せられない。」そういったところからもイラン男性にとっての「女性」という存在位置がうかがえます。また、そのよく分からん正義感で守られたトイレ女子はアッサリと彼を裏切り、競技場に紛れ込みます。私はそこでうおっ!とビックリしてしまったんですが、彼女は結果、戻ってきました。正義感男子の身の上を案じて戻ってくるトイレ女子。そこに見える不思議な絆。それがこの作品の肝だと私は思います。

トイレの絆を筆頭に、いくつかの小さな絆が絡まり合い、とうとう兵士と彼女らが護送車(?)の中で打ち解け"かける"ラストは秀逸。なんとも言えない興奮状態に陥りました。素晴らしい。ワールドカップ出場を決めたイランの、お祭り騒ぎの夜の喧騒の中、「今のうちに…」って車から出ていった彼女たちですが、私は、ひとしきり騒いだ後、彼女らがなんとなく戻ってくるような気がしてなりません。

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08.06.16 記

(評価:★4)

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