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[コメント] ろくでなし(1960/日)

この時代の青春映画は、既成にせよ新左翼にせよ、あるいは太陽族映画や石坂洋次郎原作に代表される戦後民主主義映画でも、作中に対立軸が存在する点で全て反体制なのだが、この作品の主人公達の状況との関り方は非体制と呼ぶ以外にないほど曖昧で不可確実だ。
ぽんしゅう

このような非体制的若者像が、日本映画の中で頻繁に描かれるようになるのは70年代の末から80年代になってからである。吉田喜重の思い描いた青春は、10年以上進み過ぎていたとも言えるし、10年先を予見していたとも言える。

いずれにしても、それは作家として極めて優れた感覚と資質を持ち合わせていたということであり、吉田は若干26歳の監督デビュー作でそれを証明していたことになる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)づん[*] 町田[*]

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