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[コメント] 学校の怪談3(1997/日)

鏡の中で子供たちが目にするのは、まさに夢の中で体験する奇天烈さであり、すると金子修介が描く鏡の中とは彼らの頭の中そのものなのだ。本当に怖いもの、大切なものは実は君たちの頭の中にあるのだというメッセージは、はたして子供たちに届いただろうか。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







教室の壁一面に貼られた「夢」と「友情」の習字群。その壁が見る見る迫って、「夢」と「友情」に押しつぶされそうになる子供たち。子供は将来に対して「夢」をいだくものだ。「友情」は何よりも大切なもので決して他人の気分を害してはいけないという、まさに現代の子供たちに蔓延する社会(大人世界)からの過剰な圧迫感の象徴そのものですね。

このシーンに込められた状況こそが、まさに現代の子供たち最大の恐怖の象徴だと言いたいのでしょう。だとすれば、怪談とは「怖いのも見たさ」の具現化なのだから、過剰なだけで実態をなくし観念化してしまった「夢」と「友情」というお題目の恐怖と、その拘束からの解放を描いてこそ子供のための怪談になるのだと思います。

子供のために映画を創るというのは、そこまでの志と覚悟を持つということでしょう。頭の中とは、想像力。そして、創造力なのだから。

(評価:★3)

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