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[コメント] 波紋(2022/日)

水が放射能に汚染されたかもしれない。漠とした不安が膠着状態の夫婦関係に予期せぬ決壊を招く。一度目の夫の消滅は、妻にさらなる家制度による束縛と、その反作用として宗教への空疎な依存をもたしらた。二度目の夫の消滅によって妻はようやく真の解放を得たようだ。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







葬儀のための黒紋付きの襦袢の白色がいつしか緋色に変わり、情念のダンスを舞いながら日照り雨に浄化され、妻はひとりの女として再生し「家」の外に出る。淀みと渇き。溺れと潤い。流動と波及。洗浄と浄化。荻上直子は不定形な水のイメージに変幻する妻(筒井真理子)の表情を重ね"心の弱さ"を肯定し続ける。この作風の変化は荻上直子の転向宣言(?)と受け取ってよいのだろうか。

(評価:★4)

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