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[コメント] ソーシャル・ネットワーク(2010/米)

欲しかったのはガールフレンドだったはずだ。ザッカーバーグは自ら創り出したフェイスブックと恋におちた。恋人との愛を育むために、彼は友たちを裏切ることも辞さなかった。欲しいものに近づこうとすればするほど核心から遠ざかる誠実だが不器用な男の純愛映画。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ザッカーバーグは、まるでキーボードを高速でたたくように早口で人と会話する。彼にとってコンピューターの世界とリアルな社会の境界は存在しないのだろう。

フェイスブックが何よりも、誰よりも好きな男に、フェイスブックは何をもたらしたのか。天才開発者は、仮想空間に巨大なバーチャル愛情システムを創りあげつつ、現実社会では図らずも自分の周りに強固な壁を造り上げた。彼の懸命さと頑なさは、すべて彼の愛情の発露だったはずなのに。ザッカーバーグが得たのは人の愛でもつながりでもなく、巨万の富を得た者へ向けられる羨望と、自ら招いた孤独。

人ではなく、コンピュータ画面を熱く、ときにうっとりと見つめ、一心に愛をつぎ込むザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)の姿が、どこかもの悲しげで切ない。だが彼は後悔など決してしていない。何故なら、彼は自分が孤独だなどと思っていない、いや孤独の意味をすら理解していない可能性があるからだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)山ちゃん Keita[*]

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