繰り広げられるのはぐじゅぐじゅの「男と女のあいだ」の物語。そんな下世話な混沌を松竹大船の異端児森崎東は余裕で受け流す。

はだか稼業にも矜持を秘めた気丈なジーン(池玲子)と本能的に権力を挑発する壊れ切ったヨーコ(芹明香)。男のいないリズ(絵沢萠子)と子持ちのハニー(中島葵)の悲哀は、幸福を掴みそこなたダンサーの表裏として共振する。女に甘え切った不甲斐ない男のたちのなかで際立つ老棟梁・善さん(藤原釜足)の執念と由紀夫婦(森崎由紀/下絛アトム)の捨て身の人生。

男と女の関係が雑ならアクションだって(良い意味で)雑だ。終盤のガサ入れシーンのモブアクションのハチャメチャなこと。まるでタガが外れた「昭和残侠伝」の殴り込み。そういえば「トラック野郎」シリーズにもこんな喧嘩シーンがあったなぁ。もう満腹です東映。

映画は坊主(殿山泰司)が婆さんたちに死の無意味さ拡声器でがなる説法で始まり、寺の墓地をはさんで隣に建つストリップ劇場へと移り、裸の女に熱狂する男たちから「男と女の生」の文字通りの混沌へ突入する。終わってみればこの混沌物語は人の一生、つまりは「男と女のあいだ」のエロス(生)とタナトス(死)の戯画だったことに気づく。

ところで女たちは京都では派手な宣伝が施された劇場が用意したバスで送迎せれていたのだが・・・古都を行く鉄格子の付いたバス(?)はシュールでした。