コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] あおげば尊し(2005/日)

自ら体験したことなら教えることも可能であろう。肉親の死を目の前にしても、死の意味を実感としてとらえることは不可能であり、教え子に死の意味を伝えることができず途方に暮れる教育者(テリー伊藤)の姿は、人として実に真摯であり共感が持てる。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







しかし、教えることが最も困難な死という題目を、今という日本の社会において、何かと風当たりの強い教育現場で対峙する教師と子供の間に設定するという、これまた極めて展開の困難さが予測できる物語は、やはり予測どおり死に行く者のたどった過去のささやかな栄光への無償の敬いと、残され送る家族たちの自己確認としての安寧と、そして過去の闇を抜け未来の光明を見出し救われる少年という図式的調和の中に納まるしかなかったのだろうか。

たとえその物語の構造が原作(未読)に起因するもだとしても、やはり市川準にはこの困難に対して何らかの映画的決着を付けて欲しかった。「分からないものは判らない。出来ないものは出来ない」ということも、それなりの説得力を持った結論だと私は思うのだが。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。