[コメント] らせん階段(1946/米)
反発覚悟で言ってしまおう、スリラーはモノクロのものだ、と。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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片田舎の牧歌的な雰囲気は異質な連続殺人鬼の登場によってかき消される。
次の標的にされたヘレンの、嵐の中、一人で杖をたたきながら家路に着く姿は、彼女の来るべき運命を待ち受けているかのようである。
それを煽る効果には事欠かない。耳で塞いでも鳴り止まぬ音がある、螺旋状に連なる階段がある、外見だけでは判断できぬ人物がいる。影もある。
モノクロで浮き上がる影、それは、意図的にか、実体を持った存在のように感じられる。
そしてそれは、か弱き存在に襲い掛かってくる悪意の塊のようである。
仕舞いには、それを作り出す光さえも奪われる。悪意で満たされてしまう。
ヒロインの設定からしてコミュニケーションの困難な中で如何にして身を護るか、スリルを生み出すもののひとつにコミュニケーションの断絶があることを思い出させてくれる。最近のこのジャンルに緊迫感のある作品が作れないのはここら辺に原因があるのかもしれない。
これやクルーゾーの諸作品を見る度、スリラーはモノクロのものだなと思ってしまう。
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