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[コメント] コーリャ愛のプラハ(1996/英=仏=チェコ)

結局、こどものつぶらな瞳にかなうものはない。
モモ★ラッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







民主化前のチェコの不穏な空気が漂っているかと思ったが、予想に反してユーモラスな映画だった。主人公が唯のスケベ爺で政治には無関心なところがよい。僕が一番好きなシーンはロウカが温泉地で演奏することになったときコーリャが誕生日にもらったヴァイオリンをキーキー弾くところだ。このシーンをはじめとするユーモアが全編を覆っているからこそ、重くない。

子供は本能的に状況を察知する才を持っているのだと思う。自分の事を厄介者だとしか思っていないロウカにはじめはことごとく反発するが、病院のシーンで頼るべき相手がいなくなったことを本能的に理解し、ロウカに心を開き始める。それは手をつなぐシーンに象徴されている。象徴といえば幾度か出てくる鳩もそうだろう。そして預ける場所がないことが分かるにつけ、ロウカにとってコーリャは自然と離れがたい存在となっていく。お互いがお互い必要な存在となっていく。

映画館でのコーリャの笑顔が忘れられない。子供にはあの表情をさせることが出来たロウカは、合計二度コーリャにパパと呼ばれるわけだが、彼にはその資格が十分あるわけだ。そしてコーリャが風呂場でおばあちゃんに泣きながら電話を掛ける真似をするシーンは何度観ても涙が出る。

ラストでチラッと現れる指揮者、ラファエル・クーベリック。思えばこの人も共産党政権崩壊後の1990年、母国に42年ぶりに帰郷し、「プラハの春」音楽祭で「わが祖国」を指揮した。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)りかちゅ[*] 草月 よだか[*] ina kazby ボイス母[*] KADAGIO[*]

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