黒澤明は『生きものの記録』を撮りました。初代『ゴジラ』ですが面白くありません。第五福竜丸被爆事故が同年三月一日ですから重たい映画になってしまうのは仕方ありません。黒澤明が怪獣映画を撮ったら『生きものの記録』のような作品になった事でしょう。怪獣なんか出てこないし特撮もないのに。

　　第五福竜丸被爆事故を、リアルタイムで知らない世代にとって『ゴジラシリーズ』は娯楽映画と同じ存在なんです。時代背景を考えると無理からぬ所ですが『ゴジラ』は娯楽色がありません。この映画のゴジラは、水爆実験の産物というだけあって、非常にみにくい顔をしています。

　『モスラ対ゴジラ』の顔がたぶん一番好きです。（すいません。例によって全部見てないのに断定して）愛嬌があるからなぁ。この映画って笑える場面全然無いでしょう。（息抜き出来る場面と言い直した方がいいかも）それがしんどい。強いて言えば菅井きんの「何を言うか！重大だから公表すべきだ」の怪演シーンぐらいです。

　大八車で避難する人達の様子も「戦後が終わっていない」感じで痛ましい感じがしました。