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[コメント] カムイ外伝(2009/日)

今や大御所崔洋一のパワー溢れる力作です。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私は松山ケンイチさんが大好きです。

Death Note』でも大変リアルな演技をされていましたが、『デトロイト・メタル・シティ』のようなコミカルな演技もさることながら、やはり『ウルトラミラクルラブストーリー』の狂気的な演技は凄かった。(津軽弁も上手でした。)

そんな彼を見事に充実させた主人公に仕立てた大作がこの作品ということですね。

正直申しまして、『白土三平』さんの原作は読んでいません。なので、忍者とか武芸帳とかいう世界の本質というか、原作で示されている世界を十分認識していないので、かえってこの映画を客観的に観ることができたような気がします。

物語としては”裏切り”がテーマとなっていますが、それは抜け忍という立場上やむを得ないものであって、この映画全体の必然となっています。

最近ですと『あずみ』あたりがこの系統ですが、やはり日陰の身分なので、どうしようもない孤独感というもの全編にあふれているようです。

印象的なのは海の色ですね。

海をこんなに青く描いた映画って、過去にあったでしょうか?過剰すぎるほどの青。これはこの映画の中心に据えられた日陰の身である忍者という暗い立場の反動であって、この青さだけがこの映画の中心に据えられているような気分にさせられました。

崔洋一監督は、かつて大島渚監督の助監督をされていました。その大島渚監督が、この作品の原作者でもある白土三平さんの『忍者武芸帳』という作品をマンガのカットバックで映画化したことがあるようです。(残念ながら見ていませんが・・・)

その『忍者武芸帳』で大島渚監督が実現できなかったことに、崔洋一監督が果敢なチャレンジをしたことがなんとなく想像できます。

時代を超えて連綿と連なる映像作家のバトンが手渡しされた印象も残りました。

2010/03/21 自宅

(評価:★5)

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