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[コメント] 美しい夏キリシマ(2003/日)

僕は正直言って、こういう映画にどのように感動すべきか迷っていた。しかし、あの山、川そして夏の空を見ているうち、遠い昔の記憶が蘇ってきた。
chokobo

キネマ旬報社のベストテン表彰の時、この映画に初めて接することができたのだが、正直言って自分達とは世代も違うし、臨場感を感じて見ることができなかった。

恐らく、戦後、我々の先達諸氏のおがけをもって、我々が当時の彼らと同じ思いをする必要がなかったからだろう。

考えてみれば、本人の意思にかかわらず、日本は敗戦を宣し、その敗戦の悔しさを内に秘めて戦う相手を失った若者が当時どれだけ多かったことか。その不安は将来に対する不安と、これまで自分達が信じてきたものに対するあたりどころのない怒りのようなものなのだろう。

黒木監督は、これらの戦後作品を見事に並べてこの世を去った。

彼の残したものは何だったのか。

キネ旬の表彰式でかれが穏やかに「この年まで生きてしまって・・・」と語った言葉の端々に、生きている以上しょうがないから戦争のことを語ろうとする、やり場のない疲労感と優しさを感じることができた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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