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[コメント] この森で、天使はバスを降りた(1996/米)

この題名は町の人たちの気持ちを代弁したものなんですね。大胆な邦題も時にはいいけど…。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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この映画、悲劇なのにハッピーエンドに見せているのはどうも…。町の人びとによって、彼女(アリソン=エリオット)は死んで天使にされてしまった。まるで偶像崇拝を禁じていたのに祀られてしまったナザ○のイエ○やゴー○マ=シッ○ルタ、ジャン○ダルクのように…。

ハナやシェルビーと心の交流はあったけど、まだ彼女は町に完全に「降り立って」はいなかった。ジョーと自分が同じ人間に思えなかった。町の人びとも彼女をまだ「本当には知らなかった」。彼女は死んで天使にされ、町の人びとはシェルビーの旦那を許した(彼を選んだ)。

悲しいね。パーシーの人生を思うと悲しすぎる。彼女は悲嘆にくれる以上の明るさと素直さがあった。だから確かに天使の素質はあった。彼女が地上に降りるには、イエールが必要だった。あと少しでそれが出来たかも知れないのに。…

イエール(ジョン=M.ジャクソン)はどうなってしまうのだろう。ベトナム戦争が彼に器質的な破壊を齎したのか精神的な破壊を齎したのか判らないけど、パーシーなしにハナと暮らしてゆけるのだろうか。彼のようなグラスキャップ、ビッグフット、ブギーマンの人物造型は、静かな音楽と共に『アラバマ物語』のブーを思い出させた。同じ「差別」がテーマなだけに、制作者も意識しているのだろうか?

(評価:★3)

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