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[コメント] ミッドナイト・スカイ(2020/米)

地球と宇宙、2組の生き残りの物語。☆4.1点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
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劇中、探査船乗務員であるミッチェル大佐(カイル=チャンドラー)の台詞に「夫婦でリスクについては話してきた。危険なのは宇宙に行く自分の方で、家族は安全だと思っていた」という様なものがある。確かに、地球の唯一の生き残りが宇宙と交信する、というアイデアは眼から鱗だった。『復活の日』('80/日)など、絶滅に瀕した地球人の物語は以前にもあった。しかし今回のジョージ=クルーニーはたった一人(+少女)なのだ。

探査宇宙船が還ってくると地球が滅んでいた、というのも余り記憶が無い。『宇宙戦艦ヤマト』('77/日)や『地球へ…』('80/日)も発想としては近い所にあるとは思うが。(或る意味『猿の惑星』('68/米)『渚にて』('59/米)もか)

そしてこの2組の生き残りは、宇宙という峻厳な隔絶に挟まれて中々コンタクトを取る事が出来ず、漸くコンタクトを取れた後も、対面する事は叶わない。この辺りの印象には、2020年からのコロナ禍も大きく影響を与えるだろう。

状況設定は名作『インターステラー』('14/米=英)にも近いが、終盤精神的になるかの作品とは異なり、独立した魅力に満ちた作品だと思う。地球が滅亡する理由は明らかでは無いが、世界地図に表示される同心円を見ると、私は核戦争による放射能汚染だと思った。先に脱出した人々は何処へ行ってしまったのだろう。アイテル号と入れ違いに惑星K-23に向かっているのだろうか、それとも「未来少年コナン」の様に脱出は叶わなかったのだろうか…。(ポンポン宇宙に行ける訳では無いとすると、逃げ惑うか地下へ潜ったのか)

瞳で語る少女アイリスを演じたケイリン=スプリンゴール(カオイリン=スプリンガル)が見事。何時迄も瞳が魅力的なクルーニーと抜群の相性を見せる。

     ◆     ◆     ◆

どうでも、どーでもいい事なんだけど、探査宇宙船アイテル号のアイテルは「Æther = Aether = Ether」で詰まり「エーテル」ギリシャ神話の天空神、アリストテレスの提唱した第5元素の事なのだが、日本人にはエーテル号でも良かったのではないか。アイテルは日本の医療現場ではまだ使われているドイツ語では…。

(評価:★4)

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