外道の矜持も無い映画を大衆に見せていいのか？　まるでヤクザが選挙で当選し法務大臣になったかのような吐き気を覚える。

確かに俺はと言えば伊藤英明の殺しっぷりを観に行ったのであり、兎に角女子高生を殺しまくる描写の凄まじさは充分期待に応えたものだ。(『陰陽師』や「ラストマネー」に参加したお蔭か、伊藤はそれなりによく演じてはいたが、ハスミンという"サイコパス"が心に響く事はなかった。この主人公っぽいと言えばそうだが、一見立ち位置が似ているトム=クルーズならいい意味でもっとしでかしてくれただろう。)

三池崇史の画づくりは益々洗練され(井筒監督と全く対照的)、しかしその澄ました落着き振りに悪ふざけの限度を超えた悪心が噴上げてきた。

ロメロ作品にあるダメっぷり、北野映画にある日陰感が無い。三池崇史と深作欣二は違うと確信した映画だった(深作をそんなに信用していいか判らないが)。