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[コメント] 六ヶ所村ラプソディー(2006/日)

映画は隠されていた巨大な悪事を暴かない。観客は意外な真実に衝撃と怒りを感じたりする事もない。観客が観るのは、ただ日々を誤魔化し、日々に飲み込まれている己れの姿だ。3.8点。
死ぬまでシネマ

親の世代は巨大な負の遺産を生み出し、我々は盲目的に、それを更に大きい恐怖の遺産へと育てている。

六ヶ所村ラプソディー』の上映会で、『にがい涙の大地から』の海南友子監督と鎌仲ひとみ監督の対談があり、その中で海南監督が「ミサイル防衛で何千億ものお金を掛けるのなら、日本のゼネコン総出でかの国へ乗り込んでって、同じお金を掛けて開発してあげれば、向こうも喜ぶしこっちもお金が儲かる」というような趣旨の発言をしたら、観客席から「論外だ!」との怒号が上がった。それに対し2人の監督は「確かにそれは論外かも知れないけれど、現在のお金の儲け方はおかしい」と答えた。

この国のみならず、核・軍事などの巨大産業の儲け方は明らかにおかしい。札びらで漁民の顔をはり倒し、辺鄙で不便な場所に、最初は石油プラントを造ると言っておきながら、実は全世界で唯一の「安全な」核施設を建設する。もう大量の予算を投じているから、地元の安定雇用の為、この電化社会で今更止められるか…彼らの毎度の言い分だが、結局は更なる金儲けの為ではないのか。

自分達は散々核エネルギー開発をしているクセに、隣国の核開発は徒党を組んで圧殺する。その追い込まれた隣国が核兵器開発を宣言したら、今度は自分達も核兵器を持つなどと言い出す…。おかしい論理の背景には、呆れるような金儲けの論理がある。一刻も早く「勘違い」から脱皮しなければならない。ぼくらの子孫に巨大な恐怖の遺産が残る前に。再び膨大な「核の死者」が出る前に。

(評価:★3)

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