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[コメント] パフューム ある人殺しの物語(2006/独=仏=スペイン)

(某シーンで一瞬『食神』を想起、不謹慎な客だなあ) 物理的な面でロケや映像へのこだわりは、主人公の匂いへのこだわりに通じるものさえ感じる程素晴らしい(特にあの丘の街は一度行ってみたい程だ)。 少し鼻についたのは、後半の「火曜サスペンス」っぽい見せ方だ。(匂い以外)人間として色々たくさんのものを切り捨てた主人公の、究極への歩みを描きたいならあれはないだろう・・・と思う。
YO--CHAN

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







城下の街並みに、全裸の女性がゴミの様に捨てられる。身代金もHな目的も(笑)何もなく、ただ「匂いを採取する」だけのために・・・

匂いを採取したら、肉体も相手の生命さえも用済みで捨てる、という「思い切り」というか「価値の反転」というか、安直な言い方だが「狂気」が本作の中心だと思うけど、それを中盤まで強調できず、どこか『スゥイートニー・トッド』みたいになりそうになった・・・「そうじゃないんだ」という意味での「あのラスト」だと思います。

普通の映画だったら、例えば冒頭のプラム売りの女性は辛くも助かり、世界で唯一彼を理解する人間として(例えば『北斎漫画』の娘みたいに)主人公をサポートし、最後の処刑シーンでは怒号の大衆の中、唯一彼のために涙を流し・・・となるところだ(香水瓶は回収して投げ捨て?)。少なくとも日本映画ならそうだ。

監督は「そうじゃないんだ」と言いたかったんだと思う。 主人公、やっぱし殺人はひどいから、眠らせて匂い採取に決定。後年、マッサージ+「皆様一人ひとりに合致した香水」ビジネスに進出して大成功。ハッピーエンドでスポンサーも喜ぶ・・・とはしたくなかった。そういうラストだった。

ただ、個人的には、監督のそういう意図までは伝わらなかった。正直なところ、「絵的によかった」というか、『真珠の首飾りの少女』の怖い版といった印象です。ラストではあれだけ頑張ったのに・・・監督、すみません;

P.S. 中盤、十把一絡げでノルマ的に殺された女性達が、あんまり可哀想です(笑) 尼僧さんさえいたんですよ;

(評価:★4)

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