前作があまりにもスタイリッシュで緊張感とアイディアに満ちあふれた完成度だったが為に、かなりの見劣りを感じるのも事実。前作を観ていないと本編だけでは独立した作品として楽しめないのも評価しづらい。ザイオンを描きたいという監督の真意は分かるけれど演説シーンのダラダラ加減やトランス・シーンも蛇足。また描写で描ききれない部分を登場人物たちに長台詞で語らせ過ぎるのも監督が映像美やテクノロジーの人であり、構成力や筆力、観察力の無い人であるのを露呈していた。3部作の中編と言うことで危惧していた「繋ぎ」であり、「辻褄あわせ」に奔走するといった印象も色濃く出てしまっていて残念。演技に関してはキアヌはネオという与えられた像を前作に引き続ききちんと演じていたと思う。キャリー・アン・モスはクールに立ち回りバイクシーンやビル突入シーンも魅せてくれ史上最強のヒロインを凛として好演。それだけにリズムを壊す不必要なラブシーンが悔やまれる。話題のツインズの格好だけの登場やフィッシュバーンの存在感の薄さにはガッカリしたが、作品の中に小気味良い活気を生むジェイダ・ピンケットや、登場しただけで幻想的な空気感を漂わせるモニカ・ベルッチは鮮やかな印象を残す。「オズの魔法使い」を想起させるキーメーカーの設定も愉快。テンポの悪いシーンも多いのだが圧倒的な近未来感溢れるバトルシーンやアクションシーンがそれを全体にバランスで上回っていたので平均点にした。しかし、どうしても納得できないのがラストシーン。トリニティの運命を変えるべく躍起になっていたネオが、命を落とした彼女を復活させたのには驚く…それは禁じ手！！。これが出来るのなら本編のストーリーの意味がズレてしまう。やはり、ここは撃たれる前に救い出すか、素直にトリニティを弔うかのどちらかにすべきでした。せっかく築き上げた世界観が急にこのラストでスーパーマンやスパイダーマンなどのアメコミの世界に近付いてしまった。果たして続編はフィナーレをどう迎えるのか？。楽しみにしている。