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[コメント] ブラジルから来た少年(1978/英=米)

予備知識なしで本作を観てアッと言う間に引きずり込まれたモダンホラー作品。老年に差し掛かった二人の名優オリヴィエペックの火花散る演技対決も見応えあるがフィクションとノンフィクションの狭間を行き来する世界観が素晴らしい。
TOBBY

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アイラ・レビンの原作は未読ですが、驚愕のプロットには目を見張る。製作当時は想像であった映画のキー(遺伝子操作)も、現在では現実的になっているのが興味深い。正義感溢れるイメージの強いペックが悪役に挑んでいるのも面白い。彼の演じたメンゲレはナチスの時代に実在した死の天使と恐れられた非道な医師。映画の存在以上に実際に残酷な人体実験を繰り返した人間。丁度、自伝を読んでいただけにヒトラーに傾倒し道徳の観念を失った彼のマッドドクターぶりに恐怖を感じ、リアルに不気味でした。オリビエは彼を言及する正義感に燃える主人公を好演していますが、あまりにも年老いて華奢なので大柄なペックと対峙すると弱々しく見えて終盤の対決シーンが異様にハラハラさせられた。医学の進歩と踏み入れては行けない倫理のボーダーをふと考えさせられる作品でもあります。作品のサスペンス色をむやみに、わざといらしい効果音で煽らず、ゆったりとしたクラシックが流れるのが、かえって恐怖感を感じさせます。70年代の映像の古さは感じるけれど確かな構成力を感じる作品だったので★5つ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゆーこ and One thing[*] 24[*]

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