[コメント] 破線のマリス(1999/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
描きたかったであろうことを箇条書きにしてみた(下記参照)
1.マスメディアの恐ろしさ
2.報道する側とされる側の関係性
3.複雑な犯人像
4.家族と仕事と。
5.立場の逆転
ふわふわと上記の5つのテーマは垣間見えるが全部が中途半端でストーリーに構成しようとすると粗が目立ち説得力が無い。まず1に置いての黒木の設定や立場は無難に描けているのだが陣内が黒木にストーキングをしだしてからおかしくなる。陣内がTV局単位じゃなく一編集局員の黒木に執着しだすのがリアリティを欠くし、黒木があの状況で警察にも局にも救いを求めない時点で作品としてどんどん現実味が失せる。次に2だが、そもそも最初に黒木にビデオを持ち込んだ白井の素性を調べずに放送してしまう有り得ない黒木の軽率さや、白井の存在が怪しいと判明した時点で放置するのも適当すぎてガックリ。で、最も怪しい白井の存在には触れないまま、どんどん勝手に脚本は、黒木VS陣内の不毛なストーカー合戦に焦点が移行してしまい主軸がずれ観客を見事に置いてけぼりにする。この時点でも無実であるなら理性的に局を訴えたり警察に相談しない双方の行動が、どうしても、それされちゃうと犯人分かっちゃうから困るという都合の良い脚本上の問題が垣間見え、サスペンスとしてはご法度。ここまで来ると素人が書く探偵小説のようなもの。トホホ。で、最後に犯人は実は黒木の幼い息子でした〜て、落ちなんだけどせめて高校生くらいじゃないと一連の犯行は無理。母を殺人犯に落としい入れる心理も説明不足(作者の4への強引なこじつけ?)。それと、結局、これが最大のブーイングなんだけど、そもそも物語の導入の銀行の癒着問題や自殺、白井らの存在が何も解明されないまま物語は終わってしまう。これは、あまりにも酷い!。辻褄も合わせられずに描写も変と言うのはサスペンスとして成立しない。結局ハリウッドの内幕ものやサスペンスなんかと凄い距離を感じて切なくなる。採点★1つにしたいとこだが、黒木が奇麗だし存在感があったのと、殺人を犯してから動揺して電話をして嗚咽するシーンが異様に(物語とは無関係だが)迫真に迫る名演技だったので敬意を表して★2つに。陣内は設定に対して演技のトーンが違う。もっと温度低く忍び寄る感じじゃないと、あんな熱い演技は不協和音。
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