[コメント] 大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日)
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも弟もなんて素敵。
『トリュフォーの思春期』に登場するドリュカ兄弟も(しょうがねーなーとか思いつつ)ながめながらニヤニヤしちゃうのだけど、この兄弟も最高。同性の兄弟姉妹を持たない私には、もう、うらやましくてしょうがない。
学校をさぼって道の脇の空き地で過ごす場面はハラハラしつつも楽しいし、お父さんに二人で反抗する場面も胸がしめつけられる。お弁当を頭に乗せる姿もドラキュラごっこ?のような場面もよいし、「俺の弟を泣かせた奴は誰だ。」なんて言われてしまうと、しかも仲良く一緒にいじめっこたちへ向かって突進されてしまうと、もうそれだけで目がうるんでしまう。
子どもを育てるのも大変だけど、子どもが育つのも大変なんだなぁ。
彼らは一生、お父さんと同じように爪を噛みながら生きていくのかもしれない。でも、大丈夫。この頃のふたりの絆を忘れないでいれば、たいていのことは乗りきれる。はず。
最初は「アキ・カウリスマキって、やっぱりブラックというか人生を達観したような映画が好きなんだなー。」と思ったけど、よく考えてみれば彼はお兄さんのミカ・カリウスマキと大の仲良しだったような。
墓碑に「生まれてはみたけれど」と刻みたい。これは小津の追悼映画で見たインタビュー中の発言で、どう考えても単なる冗談だとしか思えない。まず、実現させはしないだろう。
けれども、痛烈なギャグであると同時にノスタルジアも込みなのだろうな、と思いはじめると、まんざら嘘でもないような気がしてくるから不思議だ。
ポケットにフィルムの切れっ端を突っ込んだツッコミどころ満載の兄弟だなんて、いかにもではないか。
…って、これではアキ・カウリスマキについてのreview?
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