まあ確かに蒼井優が「平凡な主婦」てのは無理だろう。それは田中麗奈だろうが宮崎あおいだろうがもちろんヒロスエだろうが無理な話だ。基本的に女優は平凡じゃないのだよ。オレじゃなくても「平凡な女を演じるヒロスエ」は平凡にはなりえないってのは誰もが理解する事だろう。という観点から言うと、上野樹里という女優は異常かつ絶妙だ。彼女は「綺麗に見せる」事もできるが、「平凡な女」も作れる女優。これが出来る稀有な女優といわざるを得ない。

とはいえ、この「平凡さ」を売りにしてしまったが為に、この映画には大きな問題が残った。

話に幅が出ないのだ。だって普通なんだもん主役が。ちょっと綺麗なだけの一般人がやってるようなもんだ。言ってみれば、どっかの主婦がブログでちょっと妙な事を言ってる程度の話に過ぎない。まあ、普通の２３歳の主婦ったらもうちょっと小奇麗にしてるかまだ遊び足りないけど子供ができちゃってしょうがなく主婦やってる感じかヒロスエみたいな感じかのどれかしかない。ヒロスエなら話はぐっとおもしろ可愛くなるのが運命ってもんだろう。なので、この上野樹里主役の話では「主婦がスパイ？？」という「ちょっとだけ普通じゃない」いじりというテーマが「かなり普通でありえない普通」さになっている。ちょっと話がみえにくいか？要はどうでもいいテーマだって事だはは。それが売りなんですよ！言われてもな。