一つ。銃を撃ちまくっていればそれでいいってもんじゃない。だいたい韓国側は揃いも揃ってあんなに射撃がヘタなくせに、最後の最後で北朝鮮側に勝つなんてはずがないじゃないか。

二つ。街中であんなに派手な銃撃戦を繰り広げたり、ビルが丸々吹っ飛ぶようなテロが起きているにも関わらず、市民の反応がまったく描かれていない。東京であんな事件が起きてみろ。オレだったら世間がそんな物騒なことになっている最中に、のんきにサッカーの試合なんか見に行けないよ。

三つ、そして、これが一番大事な点。北の女工作員が、南の男を（しかも秘密情報部の人間を）愛してしまうわけがない。北であれほどの訓練を受けた人間が、そんなに簡単に愛になびいてしまうというのは、どうにも考えにくいんだな。

というわけで、この話をもとに、リアリティをもっと増したプロットを考えてみた。

「北の工作員が南に潜入。しかしそれは南側にすぐ察知され、工作員たちは当局の摘発を受けるが、抵抗する彼らは白昼の市内で銃撃戦を展開。しかし結局、狙撃部隊の働きにより工作員たちは一掃された。だが、南北間の関係が後退することを恐れた政府上層部の判断で、この事件の記録は抹消され、闇に葬り去られた」

え？つまんないって？

仕方ないよ、現実の情勢を考えればこんなところが妥当でしょ。つーかこれでも、現実よりはだいぶドラマチックなはずなんだけどな。