海で遭難した二人の男女の無人島でのひと時の恋を描いた映画｡『流されて･･･』のリメイク｡

アンバーとジュゼッペが遭難するまでの船での金持ち(主人)と召使いの領域が隣合わせに存在した中でのドラマはある種『ゴスフォード･パーク』のような雰囲気｡

アンバーの傲慢な態度に彼女に召使いとしてこき使われるジュゼッペだけでなく旅の同行者である彼女の旦那や友人までうんざり顔の様子でいるところなど､アンバーの金持ち特有の性格付けがきちんとされているところはうまい｡

展開的には主人と召使いという関係だった二人の男女が遭難して無人島生活を余儀なくされるという状況下において服従関係の立場が逆転してしまうところを中心に描いてはいるが､全体的にストーリーらしいストーリーがなく､服従関係によるドラマも話が広がらないので､映画としては無人島生活をしていくうちにいつの間にか恋愛感情が芽生える二人を描いた普通の恋愛映画となってしまっている｡

それと､二人の服従関係のドラマもコメディ色が強すぎ､常識知らずだったアンバーが言われるがままに召使いとしての仕事をこなす不甲斐なさや､突然御主人気取りとなるジュゼッペの傲慢さといったキャラの心情や服従関係に緊迫感が感じられない｡

さらに､救出されてからは､ただただ二人がなす術もなく引き裂かれる展開をくどく見せているだけで退屈｡

総評としては､二人の服従関係のドラマを全て投げやりにして普通に恋愛映画に走ってしまった作品という感じで､ストーリー展開がほとんど感じられないのが残念｡