多分にキリスト教的なキーワードがちりばめられていて、原罪や告悔といったそれらが主要キャストの内面をそれとなくうかがわせる。まあこれはいかにも映画的。そして被害者と加害者の図式もストーリーが進むにつれて曖昧になり、ラストの主人公とライダー、市長それぞれとのやりとりで曖昧さも失せて英雄と言う言葉さえもうわついたものに。

こんなハナシをＮＹという舞台でやることにももちろん意味があるだろう。そういうふうに考えるほどにつまらない出来だったなと思うね。もっとやりようはあったような本だけに、トニーの起用は裏目に出たんだと思います。現金輸送車がド派手にふっとぶシーンやノートPCが放置されているところは噴飯もの。逆に記者が市長にあのタイミングで女性問題を問いただすシーンは優れた描写だったな。

そして個人的には身代わりになった空軍（？）の元軍人の背景がとても気になった。おそらくは中東絡みだと思うが、その辺をずいぶん端折った挙句、おそろしくスピーディーかつ半端な作品になったわけ。