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[コメント] ナビィの恋(1999/日)

沖縄の曇り空の美しさ。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







さすが地元で腰を据えて撮っているだけあって、いろいろな時間帯の空の色の美しさを見せてくれる。青い海、青い空よりも灰色のそれらが素敵だった。

ところで、ナビィが旅立つ日の恵達とのやり取りが楽しい。「ランチは奈々子に持ってこさせなさい」と自分のことを見透かされて一瞬ギョッとした顔をしながらも、後には退かないよというような気丈さ。恵達はナビィのそういうところに惚れたんだな、というのがよくわかる。2人は60年一緒に暮らしてきて、充分その愛を全うしたんだろうな。だからこそ出ても行けるし、送り出すこともできる。

恵達のごとき達観が、「老人力」によるものか、それとも新しい生命が次々と溢れてくるような南国の思想によるものか(ナビィが選択する新しい人生。そして去るものはあってもまた新しく生まれる奈々子たちの恋、そして彼女たちの子供たち。それが自然だし、それででいいではないかという考え方)、大和んちゅの私にはその辺が判別できない。そういう自然体であることへの肯定が「沖縄の癒し」なんだなあ、と思わずにおれないが、それは他所者の幻想というか願望なのかも知れない。確かなことは80になってなお第2の人生を生きようというその長寿パワーにあることだけは間違いなかろう。昆布をたくさん食べるのがいいらしい(「美味しんぼ」より)。

ナビィを見送り、帰ってきた奈々子がふくのすけ(だっけ?村上淳)に抱きつくところは、さびしさからくる人恋しさというよりも、ナビィの「女」にあてられて、おさまりがつかなくなった奈々子の萌え萌え感を感じさせていい。彼女の体の火照りをこの手に感じてくる。その場を離れていく恵達の眼鏡が宵闇に光るのが、涙のように見えるところもいい。

最後に。楽しい時や悲しい時、その気持ちを歌や踊りで共有できるという文化も沖縄の羨ましく思えるところ。「ミュージカル」ということでなくリアリズムだよね。え?それも大和んちゅの幻想? いやいや昔テレビのニュースで、民放だかNHKだか新しく放送が始まったというのを村の集会所でみんな集まって見てて、番組が始まったら拍手、そしてしまいにはテレビの周りを輪になって踊りだした、っていうのを見たことあるし。え?それも演出?

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)tredair[*] 緑雨[*] ボイス母[*] sawa:38[*]

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