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[コメント] ウエスト・サイド・ストーリー(2021/米)

61年版も舞台も未見なので充分面白かったけど。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この作品の面白さが大元のミュージカルのコンテンツそのものの良さにあることはわかる。バーンスタインの音楽、若者たちのエネルギッシュなダンス、ニューヨークのスラム街の風景。とりわけカラフルで躍動感あふれるダンスの舞台となるのが、汚くて(といってもほんとに汚いのとは違う)まもなく取り壊される朽ちた街というギャップ萌え。ロミオとジュリエットのバルコニーに見立てたアパートの非常階段、穴ぼこのあいてる桟橋でピストルをとりあうダンス、デパートで憧れのデートを夢見て踊る清掃人の女たち。。魅力の狙いが明確にわかる。もうすべてもともとあるものなのだとわかる。

スピルバーグはそれを手の内で卒なく撮っているだけという印象。この人の、人間のドラマよりカメラアングルやカメラワークで魅せるという資質はミュージカルには向いているなと思った。けど、もう何か新しいことで驚かしてやれ、みたいな欲は微塵も感じない。まるで『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』の冒頭の上海のキャバレーダンスや、『1941』のダンスホールでの一場面のように「それ風」に上手に撮っているような感じで全編ができている。

監督とカメラのカミンスキーは、相変わらず画質いじりに余念がなく、60年代ぽい(かといって60年代のとは違う)ざらついた天然色風の画質を再現していて、こだわりが感じるのはこんなところかなぁ。カメラワークやカメラアングルに関しても、才気煥発な頃のスピルバーグならもっと凄いことやっていたような気もする。新しいものはさしてないけどこのコンテンツにそんなものを求めてもしょうがないのかも。本作のトニーやマリア役はどうか?ったって、何人もの役者が演じるのが、もはやこのトニーやマリアという役なんだから、そういう比較も意味がない。いろいろなタイプの2人があっていいのだと思う。

(評価:★4)

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