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[コメント] マスカレード・ホテル(2018/日)

ふだん映画になじみのない人たちにも安心して薦められる安定の娯楽作。30過ぎてもかわいいっていう感じの長澤まさみは、ぜひこのままかわいく歳をとっていってもらいたい。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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開巻劈頭さっさと潜入捜査が始まる導入がいい。この作品はこのひとまとまりのストーリーを、時間と空間を限定した仮面舞踏会という舞台のように見せるという意図があるのだから、一部ロケはあるけど基本はホテル内ですべて進行させるというのはむしろ当然なのだろうが、このすぐ本題に入るというのはなかなか快感。

刑事とホテルマンが各々の職業柄の行動規範を一歩も譲らず最初は反目するのだが、やがて互いを認め合うという王道のテーマに、キムタクも長澤まさみもいつも以上に、想像通りのキムタクと、想像どおりの長澤まさみを演じていると思う。このふつうさがいいのだ。多数出てくる登場人物の裏表を探りながら観ていかないといけない構造上、主役までが「この人は何者?」と考えるのはストレスだ。この2人がいつも「テレビで見ているような」キャラのままであるという保証は大きい。後で知ったけど監督はキムタクをテレビドラマで何本も撮っているので「キムタク」を撮るのはうまいわけだし、長澤まさみは基本的に素の人柄が出るタイプの俳優だから特段の指示がなければ基本「長澤まさみ」になるのだと思う。本作のようにうるさいことを言うべきではない娯楽作にとってこういうことは大事なんだな、と思った。

謎解きのバランスとホテルあるあると小エピソードの配列とバランスもちょうどいいと思う。仮面舞踏会を印象つけるための、ショスタコーヴィチの第2ワルツみたいな感じのテーマが少し過剰に使われ過ぎなのと、終盤真犯人を特定するところの展開の説明不足がちょっと気になったが。

ちょっとトリックの核心に触れるのでこの先特にネタバレ注意でお願いします。

真犯人の意図が、真の犯罪を隠すための「4つの連続殺人」の「見立て」である、という仮説に関しては、すでに実行された3つのそれぞれの犯罪の犯意の脈絡のなさから到達したというのは根拠がわからなくもないが、企図した真の犯罪が実は「2つ」あって、2つの関連性を疑われないためにそのうちの1つを他の3つとグルーピングする、という仮説にいたる根拠は傍証に乏しい気がする。そうかも知れないけどそうじゃないかも知れないってところではないか? なのにそこを前提に捜査を開始し始めてしまうキムタクと小日向文世は如何なものか? そしてすぐそれらしき人物(真犯人)にあっさり行きつくのは明らかに不自然、というか推理物として間違っている気がしたが、これは後で原作を読んだことのある友人に確認したところ、「都内で起きた過去3ケ月の未解決の殺人事件(殺人かどうか疑わしいものも含む)」のリストアップがあり、これをひとつひとつ2人が可能性を潰していって絞り込んでいくというプロセスがあるそうだ。そりゃそうだろうと思った。この謎だけが終盤モヤモヤしたのがちょっとなあ、というところで後は不満なし。楽しい映画でした。

余談。あっちゃんと勝地涼のこの組み合わせ。あざとい気がしたけど、撮影時まだ付き合ってなかったと誰かがネットで書いていました(わたしは事実未確認)。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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