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[コメント] ピアノの森(2007/日)

分別があって純真で、なんていい子たちばかりなんだろう、と。世の中に倦む大人たちの心に染み入るのはピアノの音以上にそれだったりして。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







海との出会い、親近感と驚き、羨望から嫉妬のような感情にもまみれながら、徐々にそれはスタイルの違いとでもいうが如くの境地へたどり着き、自分は自分の道をと進んでいくような雨宮の気持ち。

カンタービレな気分からコンクールへ、と次第に音楽への向き合い方を変え、やがてモーツァルトの幽霊と格闘する海。「森」は、2階の窓づたいにつながっている先にずっと昔からあるんだ、という述懐。コンクール会場での便所姫との出会い…。

観客の鑑賞において、一度に与えられてはいけない、ゆっくりと段階的に知って始めて意味のある情報というか、どうしても「時間の経過」が必要なエピソードばかりと思う。もっと回を割って味わいたい、と思わせるダイジェスト感がどうにも惜しい。惜しい、と思うのは、編集や構成はむしろよくできていて、これが初見の私にもこの作品の骨格はよくわかったような気はする。おそらく他にやりようのないこれが正解なんだろう。原作世界への入門編として良作…ってことでいいんでしょうか? いいんでしょうねきっと。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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