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[コメント] ハチミツとクローバー(2006/日)

美大生=自由人とかって単純に思ってたけど、むしろ多くの人は「自分は自由人でなければならない」という思いの強い人たちなのかも知れない、なんて思った。レビューは蒼井優ちゃんの魅力に一切触れないという暴挙をやらかしました。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







考えてみれば「まだ芸術家になっていない[学生]」であるからこそ、好きなことで食べていきたいけど商売として割り切れない、とか、自分の目指すものをあきらめることに罪の意識を感じたりとか、芸術に対して純化した考え方をしたとしても自然なことかも。そんな彼ら彼女らが、「自分の気持ちに忠実でなければならない」という縛りと、就職とかビジネスとか、他人のことを好きになるとかっていう、一般の社会とのかかわりにおいて、ぎくしゃくとした反応をするという点が面白かった。「あきらめるってどうやってすればいいの?」とか「作戦を練ってまた来ます」とかいう台詞は、特異な存在だからというよりも、むしろ特異な存在たろうとする人が、一般的なものと無理に接点を保とうとして(別に無理する必要などないくらいに十分一般的なのに)にじみ出てくる台詞のような感じがしないでもない。ただし作品がそういうおかしさを掘り下げて描こうという意志があるかというとそうでもなくて…。

…あれ?これって片思いがどうとかこうとかっていう恋の物語だったよね? ありゃ…恋愛感情や芸術への情熱って、実を言うとあまり本作から感じるもんがなかったりして。お互い芸術を志向している男女が、相手が好きなのか、相手の作品が好きなのかわからなくなってくる、なんて言う話の持っていきかたをするのもありかとも思うけど(原作未読なので全然勘違いかも)、あまり恋愛を感じさせてくれないくらいでちょうど良かった。そういう話よりは、それぞれが自分勝手な方向を見てる美大生たちの生態だけを描いてくれたほうが個人的には好み。『ロボコン』の理工系学生の時もそう思ったけど、そのちぐはぐな彼らのやりとりだけで一本通してもらえるといいのになあ。本作も中盤(海岸でのキス以降)から文学的に、映画らしく加速してからが実はつまらなかったりして…。

(評価:★4)

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