[コメント] 男たちの大和 YAMATO(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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期待していた通りの出来だった。 楽しめたし、くだらなかった。そういう意味では満足。
太平洋戦争好きの人間としては、大和の映画はどうしても見てみたい。 たぶんたいした作品にならないが、それでも見てみたい、そんなものだから。 そういう意味で、4点あげても全然かまわない。
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とりあえず、気になったところを。
反町隆史と中村獅童の演技がしんどいか、と考えていたが、 一番しんどかったのは仲代達矢だった。 仲代は、思う存分演じているわけだけど。演出上セーブできな かったのか。心臓発作のシーンとかは不要。
最後の、鈴木京香と男の子の敬礼シーンは不要。 そして男の子が船を操縦するシーン(違法じゃないのか?)で彼が まるで新しい日本の戦士であるかのような演出も不要。 悪趣味です。
要するに現代のシーンに特に不満があったということ。 不要とはいわないが、大和の悲劇の意味を探るのに 妙に主観的演出になって、それが空回りしているように思われた。
過去のシーンは、まああんなものだと思う。特に戦闘シーンの演出は 出色の出来、と褒めておきたい。あれでも文句はつけるひとはいるだろうが、 あの程度でいいと思う。歴史的考証もそこそこ行き届いていると思われる。
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役者については文句をいっても仕方ない。俳優の個性により限界はおのずと あるので。
反町と獅童のキャラ、とくに反町が見終えたあと今ひとつ明確になっていないところが あるように思われるのが少し気になる。
でも、まとまりを考えるとある程度、乗組員のキャラの説明を省かざるを得ないのは しかたないだろうか。なにしろ人物が多いから。 個人的には、山田純大とその嫁さんをもう少し取り上げて欲しかった かな・・・いやこれは個人的に。
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結局思うことは、現代という時代に戦争の大義名分を説明して納得を いかせる、というのは難しいということだ。多分、「仲間」「戦友」という 観点を強調したかったのだろうけど。
女優たちが演技派(というか個性が強いひと)が揃っているのは認めるが、 一番納得のいくのが、女性たちが登場するシーンだったのは予想通りと いうべきか。
つまり、母親の子供への愛情とか、恋人との愛情とか、そういう観点については現代人にも納得がいくのである。
しかし戦争のかっこよさ、特攻のかっこよさを、真剣に信じるような人間をもっと上手く表現してほしいと個人的には思う。人類の歴史を考えるうえで、けっして馬鹿にできない側面なのではなかろうか。たしかに、「戦友」の存在というのは大きいかもしれない、でも、それだけではない。
またあの特攻作戦を当事者がどうとらえていたのか、このあたりもう少しつっこんで ほしいとは感じた。出来なかったのかな?
歴史を映画化するときは、いろいろ要求が強くなるものである。
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