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[コメント] ガチ☆ボーイ(2007/日)

五十嵐が朝,目覚めてから学校に向かい,そして部室に入って“日常”に戻っていくまでの静かな,静かなシーンに圧倒されました。そこまでは,軽い気持ちで観てました。
ダイキリ・キューブ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







記憶障害であることは鑑賞前から知っており,写真やメモをとりまくり必死で明日へ記憶をつなごうとする姿を見て,なんだか分かった風になって“そうだよなあ,こうしなければ忘れてしまうんだものなあ”なんて思っていました。けれどこの朝のシーンで,そういう分かった風が消し飛びました。

記憶がなくなっている事すら忘れてしまって,おそらく頭の中には疑問符しかない状態で目覚め,天井や壁いっぱいに貼られた「日記を見ろ!」の文字にテーブルに目を移すと,びっくりするくらい厚く重ねられたノート。「明日の僕へ」のタイトルと,1ページ目の自分に宛てた手紙のような説明書き。

読み進んでも思い出せるわけでなく,書かれている事が本当に自分に起こった事なのかどうか,分からない。学校に着いて,メモを頼りに写真と照らし合わせて部室へ入る。みんなを見る不安げな顔と,声を掛けられた直後のホッとした笑顔。毎日毎日,この一連の順番を繰り返して,初めて彼は昨日までの日常に戻っていけるのだと思いました。

お父さんにプロレスをやっている理由を話すシーンなど,他にもいくつも良いシーンはあり,その都度涙してしまいましたが,感動でなく“圧倒”されたこの朝のシーンが,一番,強く心に残りました。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Myurakz[*] テトラ Tony-x[*] 林田乃丞[*]

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