[コメント] 趣味の問題(2000/仏)
物欲と切り離された“純粋な”愛憎劇。
・・・とコメントしたものの、私にはそんなものが存在するとは思えないので、この作品には限界がある。
物語は事が終わったあとから始まり、“何が起こったか”を解き明かしていくサスペンス仕立て。なかなか見せるが、限界を感じさせるのは、この手の趣味の持ち主は現実には存在し得るにしても、物語として描かれるとリアリティがないという点。例えて言えば、偶然の積み重ねは現実には起こり得るが、物語りの中でやられると白けてしまう、というのと同じ。
それゆえ、焦点を当てるべきは罠を仕掛ける富豪の方の心理だと思うのだが、この作品では終始罠にはまる青年ニコラの側に立って話が進むので、「こんなことする奴いるかよ」で終わってしまう。無理に詮索すれば、富豪を演じるベルナール・ジロドーの瞳の中に宿る狂気にそれを説明させているつもりなのかもしれないが、そんなことが演技でできる役者はこの世に存在しないだろう。
とはいえなかなか見せることも間違いないので、ぜひ観てみて。
80/100(01/02/04見)
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