ドラマで楽しませることを狙っているのではなく、ハリウッドの業界事情を赤裸々に描いて見せることが主眼なのだろう。その点に関しては、映画製作にまつわる諸要素をうまく配置していたし、登場人物それぞれの立場が異なることから、力関係が存在し、その緊張感を描くのは上手かった。微妙な関係力学の中を、うまく渡り歩いて行くのが処世術の一つ、的な描かれ方も上手だった。だが、例えばベンの私生活なんかも描かれるのだが、結局、前妻への多額の慰謝料が働く動機となっている、という点に結実するだけなのが見え透いていて、どうも底が浅い。全体として、底の浅さを感じさせる作品だった。

　雑誌の撮影会シーケンスがラストとなるのだが、３０人の中ではすっかり権威を失墜してしまったベンは、一番後ろの列の、端っこの方へ追いやられる。コロコロ意見を変える無定見な男と描かれたのであればそれも致し方ない仕打ちであろうが、私には、柔軟に粘り強く頑張っている男、にも見えたので、ちょっと可哀想に感じたです。

70／100