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[コメント] 月夜の宝石(1958/米=仏)

草食系なんて逆立ちしても演じることのできない、『ベン・ハー』のメッサラ役で有名な熱血の塊スティーヴン・ボイドに、3000メッサラ。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 物語が横滑りしていくのお構いなしのこういう映画を見ると不思議に思う。脚本が出来上がってから撮り始めなかったのかしら?と。女学生が、夏休みかなんかで僻地へ避暑にやってきた、てな風情で始まったのに、そんな背景には二度と立ち戻ることなく、非日常のはずの逃避行物語が延々と続く。この女性(バルドー)、普段は何してる人なのかしら?と思わざるを得ない。また、自分からメッサラ(ではないが)に付いて行くと言ったのに、途中で「もう歩けない」みたいなわがままを言いだす。メッサラ(ではない)が食料に魚かなんかを獲って帰ると、「今日は兎はないの」と文句を言う。生き延びるために子豚を食べようとすると、気も狂わんばかりになる。しかもなぜかメッサラ(では)の方でも特に怒りもせず、彼女を好きであると決めてしまったようで、かえってそんな彼女に興奮したりしている。そもそもバルドーは、叔父と叔母のどちらと血縁関係なのかも不明だが、どうしてこんな横暴で傲慢な叔父のいる場所へやってくることにしたのだろう?(まあ、そういう意味かもしれないが、あまり考えたくないよ。) 動物で言えば軟体動物みたいな骨の無さである。

 叙情的に見ても、あまりハッとするような映像はなかったなァ。アリダ・バリは綺麗だった(キャラクターは不明だ。「私だって抱かれたいのよ! 女だもの!」みたいな台詞を言っていた。あの好色な旦那さんとの関係がセックスレスってことか? 当時の一般的な貞操観念からすると、こういう発言を女優にさせること自体にインパクトがあったのだとでも考えないと、まったく意味のないことを言ってるように思う)。

 バルドーは、不安と不機嫌を抱え込んだ若い女、という彼女の得意とするキャラクターをそれなりにこなしていたと思う。

 これでBB5本見たが、本作のような野人・野獣的な魅力ともう一つ、都会的で洗練された魅力を持つ女優だなと思った。私は都会的の方が好みだったが、一方でそういう魅力を持つ女優はたくさんいるので、本作のような野性系の方に希少価値があるのかもしれんと思ったことだった。

65/100(10/09/29記)

(評価:★2)

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