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[コメント] イン・ザ・ベッドルーム(2001/米)

感情の微妙な揺れを映像によって描写し、ディテールを丁寧に積み上げていく構成がすばらしい。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 状況からいって、実際に銃が暴発したのだとしても、むしろ夫が故意に殺したのだと疑われておかしくない。なのに、証言の不十分さが示されただけで、夫の殺意は否定され、保釈が認められてしまう。映画で提示される他の諸条件を考慮したとしても、これは明らかに虚構、それも出来の悪い虚構である。

 問題は、虚構=フィクションを用いて、何を描きたかったのかってことだ。法は、しばしば社会正義を実現しない、そんなのは分かりきった話だ。要は、そういう場合に正義の私的な執行は許されるのか、ってことである。

 この映画は、それを行為として描いている、という点を除けば、これが許されるとも許されないとも明確には語っていない。確実に言えることだけを言うなら、「『これを許されると考えている人々はいるだろう』と考えている人々は存在する」ということだ。

 私にとっては、万人が理解できるような作りになっていない点が不満である。私がこの映画を評価するのは、きちんと論理的な思考に耐えうる作りである、という理由からである。

80/100(04/09/13記)

(評価:★4)

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