[コメント] SWEET SIXTEEN(2002/英=独=スペイン)
皮肉屋ケン・ローチ。[千代田区公会堂 (試写会)]
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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最後に主人公に救いがあるわけでもなく、また主人公を肯定するでもないプロット。とことん突き放した視線、それがケン・ローチにしては珍しい。
ただそれでも、この映画は『トレインスポッティング』ばりにスコットランドの青春の惨めさを描いてはいるが、決してそれがメインになっているというわけではなく、それ故に「スコットランドはダメな国だ」という安直なテーマに堕しているということもない。
自分がすべてを賭けてきた母親のためにヤバい道に入り、親友・ピンボールまでも振り捨ててきたのに、母親はそんな自分のことをまるきり顧みてくれないと知った時の絶望感。それは主人公・リアムがスコットランドに暮らす16歳だから味わったものではない。自分が信じてきたもののために多大な犠牲を払い、なのにそれは結局自分にとって“本物”ではなかった時の思いというのは、アメリカでも日本でも共通する感覚なのだ。
しかしこのタイトル、どっちかというと『Bittersweet Sixteen』のほうが合ってるよな、こりゃ。そこを敢えて「スイートな16歳」にしてしまう監督は、やっぱり皮肉屋だ。
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