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[コメント] 千年女優(2002/日)

突飛な表現に頼った中身の薄い映画という印象。永遠を唄うならば、歴史に頼って欲しくはなかった。
かねぼう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画のテーマとして前面に押し出されている“永遠の愛”。しかし、永遠を唄うには、この作品はあまりにも小ぢんまりしすぎているし、かといって小さくきれいにまとまっているかというと、中世から現代まで幅広く手を出したせいか、決してそのような印象はなくむしろ構成として散漫になっている。

思うに永遠を表現するときに、安直に歴史に頼るのはやめた方が良い。この作品には、「なぜ、長い歴史の中でその瞬間を選んだのか」「その瞬間でなければならないという理由は?」という問いに対する確固たる答えが欠落している。そもそも歴史を包括すれば、それは永遠であるという考えが単細胞だ。必然性の感じられない設定を多く含む作品は、構成物として美しいとは思えないし、そのような映画は観客の感情移入を拒む。

志の高さは素晴らしいが、物語の設定自体がその高みにまで登れていなかったという印象。

(評価:★2)

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