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[コメント] キル・ビル(2003/米=日)

上げたり下げたり忙しい映画だった。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







俺はタランティーノを評価していない。だからヤツが新作を創ってもときめかない。『Kill Bill』の予告を観た時も「また懲りずに駄作を創りやがって」と思った。「わたしの子供…」という日本人女性の声にゲンナリし、Crazy88に囲まれてるサーマンがクライマックスじゃお里が知れるというものだ。

ところが『Kill Bill vol.1』の予告を観て少し期待してしまった。少なくともB級味はありそうに見えた。栗山千明のもさっとした鉄球捌きに片鱗を見た。

本編が始まると最初の「ココカラ本編ガ始マリマス」の「SBロゴ」はウケたものの、仮借ないサーマンの リンチ顔から冴えない(でもかなり練習してる事は伝わる)キッチンファイトに繋がって期待度はどんどん低下。千葉真一のトホホなコントから、延々と続く青葉屋の死闘まで乗り切れずに終わってしまった。

…と、そこへ梶芽衣子の「恨み節」である。「オイオイ浪花節だよ、よくヤルネェ」と毒つきつつ、ふと自分が「この映画の見方を間違えていた」事に気づいてハッとした。

あの懐かしいフレーズでlukieさんのいう通り、俺でさえ忘れていた70's映画・TVの見方を思い出した。あの頃、時代劇では腕が千切れ首が飛んで血を噴上げ(鼻血もブーッと噴上げby谷岡ヤスジ)、西部劇では屍体にしこたま弾丸が撃ち込まれていた。『北野版=座頭市』と同時期とは縁は異なものでタケシが悔しがるかどうかは兎も角、或る意味タランティーノの方が勝っている。タランティーノのこだわりを「やり過ぎ」と取るか「まだまだ」と取るか「勘違い」と取るかで評価も変わるが、あの当時日本映画に目を輝かせたヤツがいたという事と、この映画を現在のサーマンリューらが一生懸命完成させたという事にB級な賞賛を惜しまないのだ。

日本を始め東洋の歌謡曲が未だにサビに英語を入れてくる事に奴隷根性を感じる俺だが、NOMOやイチローに湧くメリケンさん達に「ひょっとしてアンタ達も…」と思っていた。タランティーノは突然変異かも知れないが、女2人の日本語でのキメ科白合戦は、俺には結構格好ヨカッタ。

内容を振り返るのもクドイ訳だが、サーマンの「刀にウットリ」したり「真っ赤になるまでムセたり首締められ」たり、「トイレに籠ってスーツを脱いだら…ほとんど同じじゃんか!」とかが気に入った。ストーリー上で残念だったのは、しつこくジャパニメーションで語ったO-renの過去が、現在のリューと結びついてこなかった事だ。…

ただ、ただよ、俺は実はあの頃「ドバーッ」エログロのセンスには正直閉口していたのも事実なんだよな。ノスタルジーに絡め取られて、メリケンさんがマニアに掘り起こしてくれたからってアリガトウとも言えない気もするんだよね…。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)sawa:38[*] lukie[*] makoto7774[*]

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